⑤子どもを伸ばす~子どもと共に
レッスンの内容をよく吸収してどんどん上達する生徒さんのお母さま方の対応をご紹介しますね。
Aお母さまはご自身にピアノ経験がないので「先生から習った通りにやればいいね」
レッスンで教わった手順を踏み、注意点を直し、印のついたところをマスターするということをなさったそうです。つきっきりで練習したわけでもなく「先生がこう言ってたからやろうか」というのが基本的なご様子で、その通りに練習したお子さんは見る見るうちに上達しました。それはもちろんコンクールでも同じで、習った通りの練習をする、それだけで上位入賞が当たり前に。
実はこのようなお母さまは何人もいらっしゃいました。
「私はピアノのことはわからない。だから先生に習った通りに練習しよう」というのが共通点。ピアノを知らない、だから言われたとおりにやるという実にシンプルな姿勢が、短期間での上達につながったようでした。嬉しい!
次はBお母さまのお話を。
Bさんもピアノ経験はありませんでしたが、上達の早いお子さんを見た私がご自宅での様子を聞いてみると
「私は何も教えられないけれど、娘が練習するのをぼんやり眺めているのが好きなんです」
これはとても意外な言葉でした。Bさんは熱心すぎるわけでもないし厳しい様子もない。でもお子さんはすごく上達してコンクールでは常に上位です。
「お母さんは別に練習しろとか言わないの。黙ってピアノを聴いてる感じかな?」
このタイプのお母さまも数人いらっしゃいます。そしてどのお子さんたちも「ピアノが好き。楽しいです」
これは前にお話ししたお母さまの眼の効果ですね。強制はなく自然とピアノが好きになる環境が出来上がっているのでしょう。すばらしい。
そういえばCお母さまも、
「お母さんは弾けないから、あなたが弾けるのがすごく嬉しくて楽しみなの」
お子さんは「だからお母さんを喜ばせたいなぁ。うまくなると私も嬉しいしお母さんも喜ぶの」と。とても理想的な親子関係ですよね。
ピアノ経験のないお母さまの話が続きましたが、ピアノ経験のあるお母さまのことも。
「ピアノがうまいってどういうことか、私にはわからなかった。ミスしないで早く弾けばいいと思ってたのですが、あき先生のレッスンを受けるようになって初めて、表現するということを知りました。子どもが弾くピアノが私とは全然違うんです」
この生徒さんは、表現することが楽しい!と笑顔でピアノに向かっていて、お母さまもその良さを初めて知ったとお伝えくださいました。
親御さんと一緒に上質の楽しさや手ごたえを感じるのは、子どもにとって何と幸せなことでしょう。自分が為していることの価値をわかってくれるか否か、それはお子さんの意欲に大きくかかわります。
私は指導者としていい親御さんに恵まれているなぁと常々…改めてここで感謝申し上げます。
では次回は、自信がなくて子どもを指導できない親について。
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