③指使いの意味
指使いについての3回目です。
原典版に指使いが書かれていないことはよくあります。
たとえばモーツァルト。
モーツァルトの原典版はべーレンライター版が最もいいとされていますが、これには指使いがほぼ書かれていません。
私は、ソナタ以上の作品をレッスンする場合はなるべく原典版を使うようにしていますが、べーレンライターですと生徒たちは指使いに困る。なのでヘンレ版を勧めます。これには指使いも書かれているので練習できますね。
バッハやベートーヴェンもヘンレ版を使いますが、かといってそれほどヘンレ版の指使いが一番適切かというとそうでもない。原典版だからと言ってすべてを妄信しないように。
指使いに困ったときのためにもう1冊楽譜を用意し、指使いを比べてみるのはとてもいい方法です。私はこういう時、井口基成先生の春秋社版を参考にします。
故・井口基成先生は私の先生の先生なので、けいこ先生に習ってからはほぼすべて春秋社版でレッスンしていました。日本人の先生が校訂なさった指使いは我々日本人に向いている気がするので、指の番号を見比べて選んでいきます。
ですが、時にはどの版もしっくりこない場合もある。
そういう時はいろいろ試行錯誤して自分の弾きやすい指使いを見つけていきます。
指というのは、人によって弾きやすさがちがいます。
ですので、私が生徒さんに教えるときはいくつかの指使いを提示して、弾きやすい方を選ぶように指導しています。
指使いはそれぞれのクセみたいなものもあるので、ある程度のレベルになったら「必ずしも楽譜通りじゃなくていい、弾きやすい指使いを見つけたらそれを書き込んで練習してね」
と伝えています。
時には、生徒が弾いている指の動きを見てその指使いはしないほうがいいというときにはアドバイスします。
そういうときはだいたい、
・今のテンポなら弾けるけど早くなったらムリかもしれない。
・いずれミスしやすくなる指使いだから。
・指使いの整合性がない、などの場合です。
指使いは譜読みの最初の頃に決めてしまうのが得策。
いい指を見つけたら修正し、いい演奏につなげて下さいね♬
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