②指使いの意味
さて、指使いが大事というポイントのひとつに“鍵盤感覚”というのがあります。
鍵盤感覚、ざっくり言うと、どのくらい指を開けば何の音に触れることができるかわかる、みたいな感じ?
弾きたい音を鍵盤を見なくても弾ける感覚というのは、レッスンしていればいつの間にか育っていくものです。ふさわしい指使いが習慣化されているとミスしないし、譜読みも早くなる。上達には必要な感覚ですね。
小さな生徒さんにそれを顕著に感じるのが、左手の伴奏型を弾くとき。
たとえば左手でドミソを弾くとき、531の指使いで弾きますね。これを指が覚えてしまっているなら、ドミソを弾くときは無意識に531が動きます。
でも、もしドミソをちがう指使いで弾いたり、いつも違う指を使ったりしていると、531が定着してないのでミスしやすくなるのです。
ドファラを弾くときに、521ではなく531を動かしてしまう生徒さんも時々います。
確かにドミソやシレソは531で弾くのが普通ですが、ドファラの位置を考えると521で弾く癖をつけるべきではないかと。それが最も自然で不都合のない指使いだからです。
レベルが進むとドミソを421で弾くこともあります。が、基本的なパターンを覚えてから応用するならいいと思いますが、531が定着してないうちにそれ以外の指で弾いてしまうと、鍵盤感覚が構築されにくいように思います。
ミスが多い生徒さんは鍵盤感覚と自然な指使いが定着していないことが多いです。
ピアノは脳で理解し、脳から指に指令を出し、身体で覚えていくもの。
様々な五感を磨いていきましょうね♬
次回は、各版の指使いについてお話しますね。
もう何年も前のこと、引き継いだ高校生の生徒さんがドソミソを5232で弾いたのを見た時はびっくりしましたね。聞くと、ソナチネをはじめとした古典曲を弾いたことがないとのこと。なるほど…これは古典の伴奏型の基本中の基本。古典を経験してないとこうなるのか…。ちゃんと弾けるようになりたいとのことで、ベートーヴェンのソナタを教え始めましたが、選ぶ指が想定外ばかりで、直すのが大変でした。楽譜の指の番号を見る習慣もないので、とっさに動く指で弾いていたようで。音楽性があって伸びそうな生徒だから余計に惜しいと思いましたね。10年もキャリアがあるのに基礎ができていないというのは本当にもったいないです。最初の時期に基本を身に着けてしまえば、ピアノを楽しむことができるのに。基礎、本当に大事ですよ。
0コメント