辻井伸行氏の演奏はすばらしい
前回の続きです。
つい弦が切れたことに終始してしまい…演奏の感想をもう少し。
彼の演奏を聴いたのはもう何年振りか?
とにかく音色がきれいで、気負いのない演奏スタイルはいくらでも聴いていられる気がしますね。
ドビュッシー子供の領分の軽やかさとさりげなさ、重力を感じさせない音で軽々と飛び回る自由な遊び。こう弾くのかとしみじみ思いました。
チャイコフスキーくるみ割り人形のピアノバージョンを私は初めて聴きましたが、これ、かなり弾くのが大変そうですね。テクニック的にも高度な曲を、全く苦労なく弾いているのには脱帽。何より、時々ピアノの音じゃないような音が聴こえてきて、あっと思うことも。確かにオケの作品ですが、ピアノでオーケストラを弾いている、というのがよく伝わって驚きです。
ショパンのソナタ3番、何気なく聴いていると、あの曲ってこんなだっけ?と思うことが。それは私の演奏が拙いせい?でしょうか?__そう、自分と比べるのがまちがっているけれど、私のアナリーゼは未熟と思い知った演奏でした。
とにかく美しい音色と、無心さ。自我がなくただ音楽がそこにあるという演奏は、ナチュラルで癖がなくて本当に上質。
完全な脱力状態で無敵のテクニック、表現の良さなど好感の高い演奏で本当に良かったです。
この録画をご覧になった生徒さんがいたら、マネしなくていいよということも少しあります。
それは、椅子の低さと指の形。
彼は昔からこのスタイルなので、低い椅子も指の角度も、これが最も弾きやすくいい演奏になるものなのですね。
でも、それを真似たら辻井伸行氏のようになるわけではありません。
演奏スタイル、弾きやすさというのは人によって違います。
椅子の高さや指の使いかた、座り方さえ、人によってのベストはちがうので、試すことはいいけれど、試してよくなかったら変えてくださいね。
あなたにはあなたのベストがありますよ♬
0コメント