①“上手”じゃないとダメですか?
初心者からレッスンをしているかーさん、お仕事は看護師さんです。
夜勤もあってお忙しく、自宅練習はほぼできないことが多いです。レッスンには、ピアノを弾きに来る、という感じでしょうか。
「日常から離れるということと、上達というよりピアノの音色が好き、ピアノを弾いているのが好きなんです」
私は昔、茶道を習っていました。何気なく始めた茶道ですが、お茶の心得とともに先生から想定外のことも教わりました。それは
「お茶って手順がたくさんあって大変でしょう?忘れても、間違ってもいいんですよ」
え?忘れてもいいんですか?
意外すぎるお言葉に絶句した私。
「ふふ。忘れてもいいんです。必ずいつか覚えますから。できる日が来ますから」
静かなほほえみでおっしゃられたひとことは、30年たった今でも忘れることはありません。
まちがったらダメ、間違ったらミスしたら叱られるという世界に生きてきた私。そりゃあもうびっくりしましたね。
私にとっての茶道は、日常から離れて心静かに、そしてさりげない心遣いなどを教わるとてもいい時間でした。
先生と過ごす静かで穏やかなひととき、それは余計なことを考えることなく、ただお茶を点て、いただき、季節を感じるというものでした。
「あなたはとてもきれいなお点前をしますね。無心でしょう?そして力が抜けている」
お褒めいただいて恐縮でしたが、これはピアノと通ずるものなんですとお答えしたり。
本当にいい時間を過ごせて、またいつか必ず茶室に戻ってこようと思っているうちに、先生は旅立ってしまわれました。
ピアノを教えるとき、どなたにも基礎からレッスンしています。基礎なくして弾いていけるということは、私には考えづらい。そしてもし、弾きたい曲に出会ったとき、基礎がないために無理、ということがないように。
おとなの方はお仕事という主軸をお持ちで、毎日がお忙しいことでしょう。
上達したいならそれに応えるレッスンを。
ピアノが好きだからというご希望なら、一緒にここで練習していけば大丈夫ですよ。
ピアノといっしょにいい時間を過ごしましょうね。
さて次回はお子さんのケースについて♬
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