②高野先生からの教え
高野先生からお聞きしたお話です。
「デッサンを何枚も描く。するとその中に1枚、これだというのがあるんだよ」
それは見ればわかるものなんですか?
「見ればすぐわかる。たとえば…」と、スケッチブックを見せていただいたら私にもわかりました。これだ、という1枚が。
これですよね?何かがちがう。
「そう、これ」
ほかのデッサンと何がちがうんでしょうか?
「何がちがうのか?それは私にもわからない。けどはっきり違うんだ」
たしかに、何かが違いますよね。じゃあ、いつもこんな風に描けばいいわけですか?
「それがなぜかそうはできないんだよ。たくさん描かないとだめなんだ」
何と深い。。。とても印象に残ったお話です。
ひとつの線を求めてたくさん描く。
私たちのピアノと同じですね。これだという音色を求めて何度も弾く。絵画もピアノも同じなんですね。
今回の遺作展、高野先生のお若い時から晩年まで、そして代表作の“一本の樹”まで、本当にいい作品を拝見できました。この“一本の樹”は須賀川信用金庫のカレンダーになったもので、なぜだかいい、と感じさせてくれる最たるものかも。
そうそう。当教室の発表会ポスター題字は、高野先生が書いてくださったもの。
発表会をやると言ったら、じゃあ書いてやろうと持ってきてくださって、これからもずっと大事に大事に使わせていただくつもりです。
もうこうして先生の個展を見ることはないと思うととても寂しいです。。。
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母を亡くした私を食事に誘ってくれたり、いつも温かく接してくださった先生。亡くなる直前にいただいた年賀状では「10年分の画材を買いました。まだまだこれから!」とおっしゃるのが嬉しくて、すっかり安心していました。まさかこんなに早いお別れが来るとは…それは奥様も同じだったようで、3年近く経った今も悲しみは癒えないご様子。「でもたくさんの作品を残してくれましたから」と、画廊のような廊下のご自宅は季節ごとの作品が飾られています。もっとお返しをしたかった。
先生の作品は雲が素晴らしく、雲を見るたび先生を思い出します。まるで本物のような雲なんですよ。
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