【再掲】“ひとりの天才”の功罪【2010.07.18】
ピアニストとして第一人者であるK氏。
彼と私の共通点は、‘同じ先生にならった’ということ。
S先生はK氏を中学生になるまでレッスンし、
「オルゴールのように音楽を奏でる子だった。天才よ」
とおっしゃっていました。
彼の教室仲間は、
親子ともども大変熱心でハイレヴェルの集まり。
後年、私が実際にある方から、
「なんでK君のように弾けないの!?と我が子を叱りつけてばかりだった。でもそれは私だけでなく、K君の周りの子のお母さんはみんな同じだったの。
当然うちの子はピアノが大嫌いになり、辞めました。
今でもピアノを嫌っていて、それは私のせいね」
みんなライバル、みんなが優勝を目指し、ピアニストをめざしているという環境でおきた話です。
「今思うと、K君はやはり天才だったのね。なのに、うちの子に、同じ人間なのになんでできないの!と責めて、ピアニストどころかピアノ嫌いにしてしまった。あれだけ弾けてたうちの子は、ほんとならうまいと褒められていたのに、K君に勝てないからダメ、といってたのです。」
・・・何十年たっても忘れられない話です。
‘ひとりの天才’の存在が、周囲の親子に及ぼしたものは、おとなの競争心が盲目さと視野狭窄を産み、子どもを潰した、という功罪を生んだことになってしまったのですね。
子どもに接するおとなは、
良識と判断力を持ちながら、
よりよい方向へ導かなければなりません。
ピアノに限らず、これは大切なこと。
みなさんが、充実した人生を歩けますように・・・。
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